DV、女性に対する暴力の根絶に向けた政策について

4人に1人DV

1)DVについて

内閣府の男女間暴力調査によれば、4人に一人の女性がDV(ドメスティックバイオレンス)被害に遭っています。4日に一人は妻が夫に殺されており、交際相手まで含めればもっと多数の女性たちが命の危険にさらされているのが、日本の現状です。しかし、暴力を根絶する法制度は世界に比べて全く遅れています。

女性に対する暴力の根絶は1995年世界女性会議(北京会議)においてアクションプランが確認され、本格的に世界中で取り組みがスタートしました。日本でも、世界女性会議を契機に政策が展開され始めます。

1985年に制定された男女雇用機会均等法は、97年にセクシュアルハラスメントの事業主の配慮義務が導入された大改正が行われましたし、2000年にはストーカー規制法が2001年にはDV法が制定されます。ところが、制定された日本のDV法は、保護命令(接近禁止命令)は盛り込まれたものの、被害者の生活再建の支援に関しては極めて不十分なものでした。

先進諸国(欧米、韓国、台湾等)は、加害者の義務的逮捕を行うなど、DVを犯罪としてきちんと位置付け、被害者の保護と支援に関しても、無料でシェルター利用ができる期間が年単位であるなど、DV被害の回復を政府が責任を持って行う姿勢が明確になっています。それに比べて、DV法は(「夫婦喧嘩」の時代からはさすがに前進したものの)、加害者の処罰に関して「甘い」と言わざるをえません。

DVは「犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害」(DV法前文)なのであって、犯罪ではないのです。なぜ犯罪とすることができないのでしょうか?日本社会に蔓延する深刻なジェンダーバイアスが原因だと言えるでしょう。夫婦の間の暴力は「犯罪」と言い切りにくい。夫婦間レイプが処罰されにくいのも同じ理由でしょう。日本では司法も立法も、女性に対する暴力を国際水準並には「発見」していないのです。

まず、第一にDVを犯罪と規定する、取り扱うことが求められています。そして、被害者の生活再建に関して、生活保護制度以外のきめ細かい支援を制度化し、大胆に予算化しなければなりません。その際には、被害女性の立場に立った支援が進められるように、民間支援団体を中心に据えた支援体制の抜本的な改革も同時に行うことが求められています。

 

2)セクシュアルハラスメント

セクシュアルハラスメントとは、職場等において、労働者を「性的な対象」として取り扱い、地位を利用して暴力的な行為に及ぶことです。多様な暴力被害が含まれます。

チャン付けする、女の子と呼ぶ、来客のお茶くみを女性だけにさせる、女性には補助的な仕事しかさせない、などのジェンダーハラスメントも含んでいます。

また、女性団体が受けている相談事例などを見れば、強制わいせつ、レイプ等の性犯罪、直接的な暴力被害も決して少なくないことが分かります。

セクシュアルハラスメントは、「力関係」を背景にして行われるのが特徴です。上司から、取引先から、「辞めさせるぞ」などと脅迫されながら性関係を強要されるセクシュアルハラスメントが多数を占めますが、単純に「職場の上司」だけが加害者ではありません。同僚や後輩や部下からも女性たちはセクシュアルハラスメント受けています。それは、女性より男性の方が上位にあるからとしか言いようがない実態があります。

セクシュアルハラスメントが起きている職場では、対象となった女性たちは、常に緊張しています。そこから、抑うつ状態になる事例は大変多く、セクシュアルハラスメントの訴えが退職後に多くなっているのは、被害の最中には力関係の中で逆らうことができず、抑うつ状態では自分を守ることもままならない状況であるからです。

セクシュアルハラスメントに起因する疾病が労働災害に認定される道は開けましたが、現在の法制度では、職場のセクシュアルハラスメント加害者を処罰する方法は被害者が刑法に訴えるか、損害賠償請求をするかしかありません。DVと同様に、セクシュアルハラスメントそのものは犯罪とされていないからです。職場でのセクシュアルハラスメントの根絶は、男女雇用機会均等法において事業主の「措置義務」があるのみです。労働組合も、取り組みの柱としているところはごく僅かです。

就業規則にセクシュアルハラスメントで訴えられたものに対する懲戒処分の規定はあるものの、被害者が訴える環境整備がされているとは全く言えないのが、日本の企業の現状です。

セクシュルハラスメントを性暴力被害として均等法以外の法体系の中で明確に位置づけ(性暴力禁止法制など)、予防、処罰、再発防止、被害者の保護と支援を総合的に行える体制を整えなければなりません。

※セクシュアルハラスメントの定義は、様々な考え方がありますが、ここでは職場で起きるものに限っています。